欠損金とは税務会計上で繰り越せる赤字のことを言います。
税務会計は益金から損金を控除したものが損益とされますから、 収益から費用を差し引いて損益を求める財務会計上の繰越の赤字と差異が生じます。
財務会計上は費用としたものでも、税務会計上は損金とされない場合が多々あるからで、 益金に関しても同様のことが言えます。
企業は決算した後に法人税法に適合させるため、申告調整を行ってから
法人税の申告書を作成します。
財務会計上の決算書の損益に税務上の取り扱いによる加算と減算を行って、
法人税の課税対象となる利益や損失を確定させるわけです。
ここでいう加算・減算はいわゆる法人税の申告調整と言われるものですが、
何種類もの法人税申告書別表を使って課税対象所得を計算します。
税務上で欠損金が生じた場合には、
欠損金の繰越控除と欠損金の繰り戻し還付の制度があります。
欠損金の繰越控除とは、ある事業年度に生じた欠損金を 翌期以降の黒字の金額から差し引いて課税対象所得を計算する制度です。
青色申告法人として申告している年度の欠損金のみ繰り越せますが、 仮に何らかの事情で白色申告法人になっても青色申告法人として 申告した欠損金は繰越処理が出来ます。
欠損金の繰越控除については、平成23年度の税制改正により 平成20年4月1日以後に終了した事業年度から、繰り越せる期間が 7年から9年に伸びました。ただし中小法人とされない資本金1億円を 超える法人については、繰越控除限度額の規定が加えられました。
中小企業にとっては繰越期間の延長だけというメリットのある改正が されましたが、同時に帳簿の保存期間も9年に伸びています。
欠損金の繰り戻し還付とは、青色申告をした年度の欠損金を前年度の 黒字に繰戻して、前年度の法人税の還付を申請する制度です。
この制度は一定の場合を除き、平成4年から適用を停止されていましたが、 中小企業については平成21年2月1日以後に終了する事業年度から 適用されることとなりました。
ただし還付の請求書を提出したら、 100%に近い確率で税務調査を受けることを覚悟しないといけないでしょう。
税務調査で還付の適否が判断される制度とも言えます。