有利子負債とは、
会社が利子を付して返済していく借入金や 社債などの負債のことを言いますが、借入金のない会社は皆無と 言っていいほど会社の貸借対照表を拝見すると、有利子負債の 勘定科目が並んでいます。
有利子負債が少ないほど健全な財務状況だと判断されるのが一般的ですが、 多額の設備資金を必要とする場合には、どうしても金融機関のお世話に 成らざるを得ない会社が大半です。
有利子負債の支払利息は損金に計上できるし、 株主収益率より低いので経費を掛けずに資金を調達できるという利点はあるにせよ、 有利子負債が過剰になれば企業経営を圧迫するのは目に見えて明らかです。
ただ借入金を活用して経営するのも必要なことです。
したがって、どの程度が許容範囲なのかを認識することも大切です。
許容範囲の指標として活用されるのが有利子負債依存度や 有利子負債比率、有利子負債キャッシュフロー倍率などがあります。
有利子負債依存度は総資産に占める有利子負債の比率を 表わすもので、その値が低いほど健全な財務体質であると言えます。
一般的に50%くらいまでは大丈夫と評価されるようですが、 20%以内に抑えられるのが理想です。
有利子負債比率は自己資本に占める有利子負債の割合を示す数値です。
こちらも低い方が健全と評価されますが、 比率が1を超えると危険信号、0.5以下であれば及第点と 言ったところでしょうか。
有利子負債キャッシュフロー倍率は、有利子負債の金額を キャッシュフロー(営業利益と減価償却費の合計)で除した 数値ですが10倍以下であれば過剰債務ではないと判断されています。
いずれにせよ有利子負債が増え過剰債務の状態になれば
経営のキャスティングボードは借入金が、つまりは金融機関が 握ってしまうことになりますので、借入金の許容範囲を見定めながら 有利子負債を調整することが必要となります。